Unter Schock stehen 2016-04-252016-04-25 ~ Kyoko Alscher これまでに2回、「もうダメかもしれない」と思ったことがある。 最初は9歳の秋、突然の頻脈で倒れ、4日ほど緊急入院をしたとき。 2回目はその翌年の夏、森で犬たちと遊んでいるときに頻脈が発生し、力なくぐにゃりと崩れたとき。 今回は3回目だった。 3週間ほど私が不在している間に体調を崩してしまったボダイが回復の兆候を見せたので、学校帰りのチビラを拾って久しぶりに森に出かけたときだった。 静かなエリアを選んでぼつりぼつりと森の中を、匂いを嗅ぎながら時間をかけて歩き、3つくらい角を回った帰りがけに水辺に走って行くチビラを追いかけてダッシュしたボダイをみて、私は小さく「あっ!」と声を上げた。 案の定、その直後ボダイの足はおぼつかなくなり、倒れた。 倒れる10分くらい前。 すぐに駈け寄って体位を直し、必死に体を激しくさすった。 おしっこが漏れだし、地面を伝ってジーンズの膝部分に浸みてきた。 ゆっくりだが心臓は動いている。 ぐったりとしたボダイを抱え、とにかく体をさすり、声をかけ続けた。 やがてうつろだった目が大きく開き、「ふー」と大きくボダイが息を吸った。 倒れてから意識が戻るまで、おそらく1分もなかったのだと思うが、時間はとても長く感じられた。 首をもたげながらも伏せたままのボダイをその場でしばらく休ませた。 気分が落ち着いたころボダイは再び立ち上がり、そしてゆっくりと歩き始めた。 まるで「じゃあ、帰ろうか」とでもいわんばかりに。 10m歩いては立ち止まり、立ち止まっては歩き、ボダイの歩調に合わせて時間をかけて車まで戻った。 ボダイの心臓は心肥大と大動脈弁狭窄によりもうかなり機能が弱まっているが、投薬の効果も限界にありこれ以上打つ手はない。 体に充分な血量を押し出すことができないため急激な運動どころか少しの早歩きでももう体は酸欠に陥ってしまうのに、なのにあんなに突然猛ダッシュが出来るとは正直思わなかった。 ボダイは心臓の能力以上に体を動かしてしまったのだ。 その事実を自分に言い聞かせるためにもこうして書いているわけだが。 体調が思わしくないと、普段の偏食がさらに輪をかけて究極的になる。 炭水化物も脂肪もストイックなほどに口にせず、肉類も同じ肉が3日も続くともう飽きてしまうから、とにかく体重の維持に必死である。 いつもならボダイを連れて行くはずのチビラの乗馬、美しく青い空が惜しくて仕方ない。 安静にしていても呼吸が荒いときがある。 動くともっとしんどいけど、かといって散歩に出ないわけに行かないし、でももう遠くには行きたくないようだし、歩ける限りゆっくりと好きな方向へ、日向ぼっこのつもりで春の新緑を見にゆこう。 足はおぼつかないけど頭は至ってしっかりしているから、部屋で安静にしていながらもボダイは私たち家族の動向をよく観察しているし、調子がよいときにはほうっておいても周りに興味を持ちいつもの散歩ルートをどんどん歩いてゆこうとする。 そうでなければ用を足したらすぐに帰りたがるので、とにもかくにも無理のないようにボダイのペースでぼちぼちと。 ほんの2ヶ月前のあの元気さがすでに懐かしく感じられる。 そのようなわけで多方面いろいろとご迷惑をおかけし、大変に申し訳ない。 Werbung